
360年以上の歴史を誇る Vitale Barberis Canonico は、イタリアのテキスタイル伝統の象徴です。Eton の Soft Jackets 初登場に合わせ、私たちは伝説的なビエッラの工場を訪れ、世界で最も名高いウールフランネルがどのように誕生するのか—原毛から洗練された生地まで—を探りました。
Vitale Barberis Canonico の物語は1663年、創業者 Ajmo Barbero が染めたグレーウールをサヴォイ公爵に献上したことから始まります。卓越した色彩技術はすぐに評判を呼び、世紀を超えて続くテキスタイルハウスの礎を築きました。その後の世代は、英国の産業革命から知識を取り入れたり、19世紀には電力を導入するなど、常に革新を取り入れて成長してきました。
変わらないのは「場所」です。創業以来、VBC は北イタリア・ビエッラ地方のプラティヴェロに拠点を置き続けています。清流とアルプスの水に恵まれたこの地は、古くから織物作りに理想的な環境として知られてきました。現在、工場は13代目のBarberis 家によって運営され、480名の従業員と年間700万メートルの生地を生産。小規模なオーダーメイドから世界的ブランドまで供給する、ビエッラ最大の工場です。

Eton 初の Soft Jackets コレクションの一つには、VBC を代表する「Super 120’s ウールフランネル」を採用。オーストラリア産のエクストラファインメリノを持続的に調達し、200以上の工程を経てジャケットに仕立てられます。その過程でメリノ本来の通気性や耐久性を引き出しつつ、驚くほど柔らかな風合いを保ちます。
原毛はまずロマニャーノ・セージアで洗浄・精練され、プラティヴェロのVBC工場で染色されます。ここでは「トップ染め」と呼ばれる技法を用い、紡績前に繊維を染め上げることで、優れた耐色性と奥行きのあるメランジカラーを実現します。希少な100年前のプリント機を用いて幾何学模様を施すこともあり、独特の深みを持つフランネルが生み出されます。
伝統的なフランネルが梳毛ではなく紡毛で作られるのに対し、Super 120’s は丁寧に梳かれた梳毛を使用。繊維を同じ方向に整えることで滑らかで強靭な糸となり、二重撚りによって耐久性やシワ耐性も向上。従来のフランネルよりも軽量で、冬を超えて一年を通じて着用可能です。

VBC の最新鋭の織機100台の大半は防音キャビンに収められており、効率や品質を落とすことなく騒音を100デシベルから85デシベルへと低減。日々働く職人のための環境への配慮が行き届いています。
仕上げでは、織り上がった生地をアルプスの清らかな水で洗い、VBC 特有のなめらかさを生み出します。低いミネラル含有量を持つこの水は、長年ビエッラの生地を特別なものにしてきました。さらに現代では、超ろ過システムやオゾン脱色により染色排水を浄化・再利用し、環境保全と品質を両立させています。

生地は工程ごとに検査され、最後には熟練のリペア職人が目視で一枚一枚確認。最小の欠点すら修正し、完璧な生地だけが出荷されます。こうして、伝統、革新、徹底した品質管理の融合によって、VBC のウールフランネルは高級生地の基準となり、Eton 初の Soft Jackets にふさわしい素材となるのです。






